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悪い予感はよく当たる/破壊(4) [問題行動]

子供たちは、毎日、必ず、モノを壊す。

少しでも、その片付けの負担を減らす目的で、

引き出しに、外からは見えない鍵を取り付けた。


その結果、以前は開いた引き出しが、

開かなくなったことに、U一郎が激し怒り、

U一郎も部屋も、悲惨な状態となって、

作りかけの夕食まで、台無しにしてしまった。





自閉症のU一郎は、環境の変化に弱い。


だから、鍵がなかった引き出しに、

途中から鍵をつけるのではなく、

「鍵で開け閉めできる引き出し」というのを

最初から、U一郎によく見せて理解させ、

その後。鍵を閉めて利用する方が

良かったのではないだろうか。


そんなことが、頭をよぎった。


でも、それより、もっと大事なことは、

鍵を閉めて開かなくなった引き出しを、

また、開けておいておくのか、

それとも、二度と、U一郎の前では開けないのか、

早く決めることだった。


引き出しが、再び開くようになると、

きっと、U一郎は、また怒り狂うだろう。


それは、もう嫌なので、

とりあえず、しばらく閉めたままにしておいた。


すると、U一郎は、その後、

引き出しを撫でたり、指でつついたりしていたが、

無理に開けようとしたり、怒り出すことはなかった。


「この引き出し、いつになったら、U一郎の前で、

鍵で開け閉めを、できるようになるのかな。」


引き出しの方を眺めて、ぼんやり考えていると、

よく、O次郎がそばにやってきて、

私の方を、じっと見ていたのを覚えてる。







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悪い予感はよく当たる/破壊(3) [問題行動]

子供達が、毎日、家のモノを壊すことで、

日々の生活も、破壊されてしまうため、

引き出しに鍵をかけてみることになった。





療育で紹介されたこの鍵は、後付けできて、

しかも、鍵がついていることもわからない。


もちろん、本当に大事なものは、

子供たちに絶対わからないところに

厳重に隠してある。


でもそれは、普段、簡単には出せない。


だから、今回、この鍵がうまくいったら、

家中の引き出しや開き戸などに、

少しずつ取り付けていく予定。


そして、U一郎やO次郎に

モノを壊されることを減らし

後片付けの手間を減らそうというのが、

療育の先生の考えだ。


その後、鍵を取り付けて一週間経っても、

鍵をつけた引き出しには、何も起きなかったし

子供たちも、いつも通り、別のモノを壊していた。


引き出しが開かないことに、気が付かなかったのだろう。


鍵を付けた引き出しの中には、

あまり使わない物が入っていたので、

カードキーで解錠することも、しなかった。


けれど、取り付けて、10日くらいに入った頃

それは起きた。


「ァギャァァー、キィィー」

バァンバンッ、ドカッドカッ、ドォッ!


驚いて、夕食の支度も放り出し、

急いで音のする方へ行った。


そこには、顔から耳まで真っ赤になり、

歯をむき出しにして絶叫するU一郎がいた。

開かない引き出しに、怒り狂って


引き出しの下の方を、足で蹴飛ばしながら

指で、引き出しを開けようと、かきむしっていた。


U一郎の指や足の肌は赤くなり、

指の爪は、少し傷ついたように見えた。


「ごめんね、U一郎。」

後ろからそっと抱きしめて、耳にささやいた、

「この引き出し、壊れちゃったの。開かないの」

「今度、修理するから。ね、まってて。」

何度も、何度も、言い聞かせた。


「アァァアーッ!イヤッ、イヤァッ!アギャァー!」

U一郎は、耳が痛くなるほどの大声で叫び

全身をばたつかせながら、床を転げ回った。

そして、ぶつかった壁や家具を、思い切り蹴飛ばした。


こういう時、何か言ったり無理に介入すると、

だいたい、興奮が激しくなってしまう。

そこで、動かせる家具は、部屋からどかして、

U一郎のケガやモノの破壊を、減らす努力だけした。


「やっぱりね、あぁぁ。」


私は、部屋のすみっこで、ため息をつき、

ひざに顔を埋めるように座り込んで、

U一郎が落ち着くのを、じっと待った。


U一郎は、しばらく暴れていたあと、

徐々に落ち着きを取り戻して、叫ぶのをやめると、

花時計の秒針のように、床をクルクル回り出した。


「もうすぐ、ニュートラルに戻るかな」

そう思った時、何かの臭いを感じた。


「ママー、何かこげているんじゃない?」

部屋の反対側に顔だけ出したO次郎は、

好奇心にあふれてワクワクした光る目つきで

うれしそうに、こちらを覗きこんで言った。


跳ね起きて、キッチンに走ると、

お鍋の中の煮物は、すっかり水分がなくなり、

なべ底は、ねっとりと焦げ付いていた。


「あぁ・・。やってしまった。」


泣き出しそうになりながら、

お鍋の中の焦げた食材を、処分した後

お鍋を、いつ、どうやって、きれいにしようかと

もう動かない頭で のろのろ考えていた時、

ふと、横に気配を感じた。


楽しそうな顔のO次郎が、はずんだ声で、

ゴミ袋に入れた焦げた食材を見て言った。

「ねー、それ、今日のご飯なの?どうしたの?」


「あっちにいってなさい!宿題はしたの?!」

思わず大声で叫んでしまった。



    



  




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悪い予感はよく当たる/破壊(2) [問題行動]

子供達に、毎日、モノを壊されてしまうため、


平穏な生活のための対策と、療育をかねて、

引き出しに鍵をつけ、2人の行動をみることにした。


子供たちを寝かしつけ、寝息を確認した後、

鍵の説明書を読み、取り付け方法を理解する。







鍵がちゃんと閉まるか、確認したりするうちに、

思ったより時間がかかり、お茶を飲んで一服する。


ふと、子供たちの様子が気になって寝室に行くと、

珍しく、2人とも、ぐっすり寝込んでいる。


なんとか取り付け、カードキーで開閉を試す。

「今は、こんなのがあるんだなー、すごいなー」

と感心しながら、取り付け終了。


見た目にも、鍵がついていることすらわからないし

カードキーでの開閉もスムーズだ、

ちょっとした達成感で、気分が上がる。


わけもなく明るい気分で布団に入ったものの、

少したつと、いくつもの考えが浮かんでは消えた。


「今まで開いた引き出しが開かないと、どう思うかな」

「引き出しが壊れたと思って、あきらめてくれるかな」

「何かでこじ開けようとしたら、どうしよう」

「子供の前では鍵を使えないから、よく考えて計画たてないと」


だんだん目が冴えてきそうなので、

「考えるのをやめて、もう寝よう」と思ったその時、


「きっと、うまくいかない。なんか悪い予感がする」

と、なぜかハッキリ意識した。


「ふぅぅーっ」とため息をつき、布団を深くかぶった。


   

   






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悪い予感はよく当たる/破壊(1) [問題行動]

U一郎とO次郎は、小さい頃からずっと、

毎日、モノを壊して生きてきた。


そのことを、療育などで相談すると、

だいたい、こんな回答がくる。


1「いつか終わるから、それまで好きにさせてみなさい。」

2「壊していいものを、毎日決めて、与えなさい。」

3「壊されて困るものは、全部しまって鍵かけて。」

4「くせがつくと困るから、部屋の中にモノを出さないで」

5「どうしたら、いいでしょうねぇ。むずかしいですね。」


つまり、相談する相手によって、回答は異なる。


4と5の回答は、話にならなかったので、

1~3の中で、どれを選ぼうか、考えたことがある。


初めは、教育的な気持ちもあって、

2の回答を、家で実践してみた。


チラシや不要の箱などを入れた段ボール箱を用意する。

「これは、壊していいよ。でも、他は壊さないよ。」

と繰り返し教える。

そして、壊した物を捨てるための箱を用意する。

「壊したら、こっちに入れるよ。」

と、子供の手をとって、捨てる練習をする。


確かに、はじめた日は、うまくいった。


でも、壊しても良いと用意されたものでは、

刺激が足りず、つまらなかったのだろう。

次の日には、教わったとおりにしないばかりか

2つの箱も中身も、メチャクチャに壊されていた。


そこで、2の回答の「鍵をかける」「隠す」を

やってみようかと考えてみた。


でも、きっと、U一郎やO次郎は、

鍵をかけてまで隠されたモノものがある、とわかると、

「どうしても見たい!開けてみたい!」

となり、全力で破壊活動にとりかかるだろう。


そのため、私にとって一番被害が少ない方法として、

ずっと、1の回答を選んで過ごしてきたのだった。


ところが、こういう私の選択を

「子供たちの問題行動を放置している」

と考えて、それを問題視する療育の先生もいる。


その療育の先生に、強く強く強ーーくさとされ、

本当は、あまり気乗りはしなかったが、やむなく、

家のどこかに鍵をかけて、モノを隠すことにした。


「冷蔵庫に鍵をかけているお家も、結構ありますよ」

とも言われ、こんな鍵があることも教えてもらった。






でも、これを試してみるのはやめた。

冷蔵庫を壊されては、かなわない。


「こんないい鍵が、売られているのになぁ」と

私の家では、使うこともできないことを

ちょっとカナシク思った。


   


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