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悪い予感はよく当たる/破壊(4) [問題行動]

子供たちは、毎日、必ず、モノを壊す。

少しでも、その片付けの負担を減らす目的で、

引き出しに、外からは見えない鍵を取り付けた。


その結果、以前は開いた引き出しが、

開かなくなったことに、U一郎が激し怒り、

U一郎も部屋も、悲惨な状態となって、

作りかけの夕食まで、台無しにしてしまった。





自閉症のU一郎は、環境の変化に弱い。


だから、鍵がなかった引き出しに、

途中から鍵をつけるのではなく、

「鍵で開け閉めできる引き出し」というのを

最初から、U一郎によく見せて理解させ、

その後。鍵を閉めて利用する方が

良かったのではないだろうか。


そんなことが、頭をよぎった。


でも、それより、もっと大事なことは、

鍵を閉めて開かなくなった引き出しを、

また、開けておいておくのか、

それとも、二度と、U一郎の前では開けないのか、

早く決めることだった。


引き出しが、再び開くようになると、

きっと、U一郎は、また怒り狂うだろう。


それは、もう嫌なので、

とりあえず、しばらく閉めたままにしておいた。


すると、U一郎は、その後、

引き出しを撫でたり、指でつついたりしていたが、

無理に開けようとしたり、怒り出すことはなかった。


「この引き出し、いつになったら、U一郎の前で、

鍵で開け閉めを、できるようになるのかな。」


引き出しの方を眺めて、ぼんやり考えていると、

よく、O次郎がそばにやってきて、

私の方を、じっと見ていたのを覚えてる。







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私たち親子も、カモなのだろうか。(1) [放課後等デイサービス]

U一郎とO次郎は、放課後デイサービス(放デイ)に通っている。


そこは、学齢期の障害のある子供の学童みたいなものだけれど、

「療育機能」も持っている点で、普通の子供が行く学童とは違う。


療育とは、「治療+教育」という意味で、

障害のある子どもが、より自立した生活を送るためのもの。


具体的に、何をするのかというと、

例えば、会話とか、コミュニケーションの練習や

日常の生活動作(着替え、スプーン、他)の練習など。


たいてい、その子供にとって、必要で苦手なことが選ばれ、

「療育」として教わることが多いんじゃないかな。


そして、多くの放デイが、そのホームページで、

「療育をしている」ことを強調しているように見える。


でも、この「療育」だけれど、

子供を放デイに通わせるお母さん達との会話では、

こんな話が出ることも、結構ある。



「本当に療育できるような人に、会ったことないよね。」

「そんなに療育の結果が出せたら、それ障害じゃないでしょ。」

「障害があっても、やれば、元々、ある程度はできるからね。」




ただ、そうは言っても、

「もしかして、子どもが、すごく改善するかも」

という期待をして、放デイで療育をお願いしたりする。


そして、その親の期待というのは、

本当に、とても切実であることもある。


「子供が、障害という個性を持って生まれますように。」

「将来、子供が、障害を背負う事故にあいますように。」

そんなことを願う親は、普通いないのだ。


いつだって、今すぐにだって、子供のために、

子供の障害が消えてほしいと願う親は多いと思う。


けれど、そんな親の気持ちの切実さに対して、

放デイの「療育の質や取り組みへの姿勢」は、というと、

驚くほど、低く、軽々しく、感じることもある。


さらに、放デイの求人欄や、スタッフたちの言動からも

見たくないものが、透けて見えることがある。


放デイに子供を通わせる親たちは、

放デイのスタッフより、年上の場合も少なくないから、

それは、ある程度、仕方がないのかもしれない。



結局、障害のある子供の親は、

その切実さな期待につけこまれ、

社会的な立場の弱さからも、

足元を見られているのではないか、

要するに、「一生、カモ」なのではないか。


そんな言葉を、つぶやく親だっていた。




ただ、放デイの「療育の質や取り組みへの姿勢」は、

スタッフだけのせいか、というと、そうではなく、

むしろ、放デイのオーナーが、放デイを始めた動機や、

放デイで働くスタッフに対する給料や待遇などにも、

大きく関係しているのではないかな。


それは、どんな業種でも、普通にありえることだから。



自分から、勝手に、ここまで書いたのだけれど、

今日はもう、これ以上、書くのは、よそう。


何か、耐え難いほどに、気持ちが重くなってしまった。



   







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O次郎の足のこと(10)~新たなトラブルを抱えて [足のこと]

小学校へ入学して、間もなく、

学校の階段から、転げ落ちてしまったO次郎。


クラスのみんなより、少し早めに夏休みに入り、

階段での記憶も、日々、薄れているように見えた。


ところが、放課後デイサービスに行こうとした日、

階段での体験から、新たな問題が生まれたことを知った。


小雨が降りかかけっていたため、傘をさして歩くのはやめて、

放課後デイサービスの近くまで、バスで行こうとした時のこと。


O次郎は、バス停で、U一郎とともに、

久しぶりにバスに乗ることを、ウキウキして待っていた。


バスが止まってドアが開き、まず、U一郎がステップを上った。

次は、O次郎が乗る番。それなのに、じっとして動かない。


「どうしたの?早く行きなさい?」

先にバスに乗ったU一郎が気になり、つい、O次郎をせかす。


「ィイヤダァー!イヤダーァッ、乗らないぃぃーっ!」

お尻を後ろに突き出して、勢いよく後ずさりしたため、

私は、後ろに尻もちをつくように、転びそうになった。


「O次郎っ、ねぇ、O次郎。だいじょうぶよ。」
「ママがいるから、絶対、落ちたりしないよ。」

思わず、言ってしまった言葉に、O次郎は激しく反応した。


「イヤァァァーッ!イヤァ―ッ!落ちない、落ちないーっ!」


O次郎は、手を握りしめて、強く肩に引き寄せ、

その場で、全身を小さくちぢこまらせて絶叫した。


「どうしよう。U一郎を下ろさなきゃ、U一郎、、」

O次郎が走りださないように、O次郎のTシャツを片手でつかみ、

慌てふためきながら、バスの中を覗き込むが、

奥の方までは見えず、U一郎がどこにいるかわからない。


ドクゥッ、ドクゥッ、ドクゥッ、、

首の横あたりで、血がドウドウと勢いよく流れている気がした。


「U一郎、降りて!今日は乗れないから、降りて!」

そんなことを、遠くから言ってみたところで、

U一郎ができるわけないと、ぼんやり思いながらも、

言葉が、勝手に、口から飛び出していた。



すると、バスに乗っていた年配の女性達がの声が聞こえた。、

「あなたのことじゃない?お母さんが呼んでいるわよ。」

「ねぇ、立って。あれ、お母さんでしょう?」


その時、私の後ろに立っていた初老の男性が言った。

「この子、ちょっと見ておきますよ。呼んで来たら?」


「すいません、お願いします。O次郎、ここにいてね。」

男性にそう言って、駆け上がるようにバスの中に入った。


U一郎は、バス後部の二人掛けの席に一人で座り、

前席のイスの背もたれを、両手でつかみながら、

ニコニコして、窓の外を眺めていた。


イスに座るU一郎に駆け寄り、祈るように言った。

「今日は、降りるよ。ごめんね。O次郎、調子悪いの」

U一郎は、いつものように、私なんて見えないかのように

微動だにせず、窓の外をご機嫌で眺めている。



私は、片手をU一郎の両手に添え、片手をU一郎のほほに当て、

U一郎の耳に近づき、何度もささいた。

「降りるよ。降りるよ。今日はおしまい。また乗ろうね。」


「この子、どうしたの?わからないの?」

「急いでるんだけど。降りるなら、早くして下さい。」

そんな声が、車内から上がった。



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「ママさーん、まだかなぁ、この子、どっか行きそうなんだけど」

バスの外から、O次郎を見守ってくれているらしき人の声も、聞こえた。


そして、バスの運転手さんの声も、車内に響いた。

「すいません、お客さん。時間なので、急いでもらえますか」



これ以上ないほど、緊張し、動揺しながら、

「早く、早く、U一朗を!失敗しないように!早く!」

と、強く、強く思った。


そして、U一郎の片手を握り、腰を抱えるように私の手を添え

U一郎を、ゆっくり立たせようとした。


すると、U一郎は跳ね上がるように立ち上がり、

「降りるよーぉっ!まぁーたぁー、乗ろうねぇーっ!」

と大声で叫び、目を見開き、口を半開きにして、ひきつりながら、

バスの車内をダッシュで走り、乗降口へ向かった。


私は、慌ててU一郎について走りながら、みんなに大声で謝った。

「御迷惑をおかけしました、すいませんでしたっ!」


「どうしよう、2人とも見失なってしまうかも!あぁ!」

全身に鳥肌が立ったのを感じつつ、バスの乗降口を降りると、


O次郎を、バスの外で見守ってくれていた男性が、

大声で泣いているU一郎とO次郎の腕を掴んで、

私を、待っていてくれた。


「あぁ、ありがとうございます。本当にすみません。」

頭を繰り返し下げて、男性に何度もお礼を言うと

「いやいや、じゃ。」

と、言葉少なに会釈し、バスの中へ、スッと乗り込んだ。


バスが走り去るのを、呆然として見送りながら、

Tシャツの袖をつかみ、確保している子供たちを見ると、

2人とも泣きながら、髪をつかみ合ってケンカを始めた。


「いい加減にしなさいっ!もう、やめてよ!」

思わず叫んで叱ったが、2人は全く言うことを聞かない。


そこで、バッグから取り出した迷子ひもを2人に取り出し、

迷子ひもで、絡み合う2人を同時にひっぱりながら、

2人をバス停から少し離れたところへ連れて行った。








そして、無理やり2人の間に入って引き離し、

おんぶするように、O次郎を背中に抱き着かせ、

だっこするように、U一郎を私の前に抱きかかえた

アスファルトの上に、座り込んだ。


バスが、3、4台くらい通り過ぎた頃だろうか、

O次郎が、「おなかすいた、ママー」と言い出した。


ゆっくり2人を立たせ、両側で子供と手をつなぎながら、

うつ向いて、トボトボと家へ向かった。


服も靴も荷物も、みんな、雨ですっかり湿っていた。

みじめで、カナシクて、目を開いて歩けなかった。


途中で、見知らぬ中高年くらいの女性に声をかけられた。

「どうしたの?だいじょうぶ?」


唾を飲み込んで何とか笑顔を作り、うなづいて通り過ぎた。


バスで子供を見守ってくれた男性のことも思い出し、

見知らぬ他人の優しさに、固くなった気持ちが緩んだ。


口の両端が大きく下がり、顔がゆがみ、涙が零れ落ちる。


「ごめんね、O次郎。ごめんね、U一郎。」

小さな声で、やっと謝ると、

子供たちは、私の腕にからみつき、顔をこすりつけた。


   

   



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2021年1月26日(火)の事件と被害 [事件と被害]

●午後4時半

そろそろ、夕食にしようと思ったら、

床に、鈍く光る小さな銀色の玉が落ちていた。

「これ、なんだろう?」

親指と人差し指でつまんで拾い、よく見てみる。

指先で押してもつぶれない。匂いはなさそう。

とりあえず、子供たちが、口にいれたりしないように

他にも何か落ちていないか、床を見て回る。


すると、ポツリ、ポツリ、とあちこちに転がっている。

銀の玉を拾いながら進むと、だんだん数が多くなり、

とうとう、洗面所にたどりついた。


そこには、大量の銀の玉が転がり、布の残骸が落ちていた。

それは、変わり果てた「洗濯まぐちゃん」達の姿だった。


毎日、洗濯があまりに多いため、

洗剤の使いすぎによる肌荒れを防いだり、

洗剤などの費用を少なくするために

この洗剤グッズを使っている。


銀の玉は、「洗濯まぐちゃん」の中身の

マグネシウムだったのだ。







「この中身って、こんな感じだったんだ・・」

床に転がっているマグネシウムを

手の平にすくって、軽く握りしめると、

なんとなく、自分が気落ちしているのを感じた。


そして、もう一度袋詰めして使おうと思い立ち、

床を這いまわりながら、銀の玉を拾い集めた。


その時、頭がヒヤッとして、冷たい何かがあたった。


上を見上げると、天井が濡れていた。

天井から、水滴が落ちてきたのだった。


「また、U一郎と O次郎だ。」

子供たちは、手洗いの時、

水道に指をつっこんだり、

洗って濡れている手を振り回すため、

毎回、洗面所は水にびたしになる。



今日は、どうやって天井まで濡らしたのか。

クイックルワイパーを使って、軽く天井を拭く。


そして、マグネシウムの拾い落としがないように、

最期に、掃除機をかけ、小さくため息をつく。


一応、注意しておくため、子供部屋に行くと、

2人とも、めずらしく昼寝をしていた。


学校で何か疲れることがあったのかな、と思い、

あとで叱ることにして、夕食の支度を始める。



●午後5時半

「ご飯できたぁ?」

阿波踊りのように両手を振り、飛び跳ねながら、

カレーの匂いにつられてやってきたO次郎が

火を止めたお鍋の中を、覗き込む。


「熱いよ、危ないから、向こうに行ってなさい」


そう注意した時、O次郎の顔がゆがんだ。

「ヒァックショオォーーン」

ものすごく大げさなくしゃみをして、

つばや鼻水が、カレーの中に飛び散った。


「・・最低。」


カレーの上層面は、

O次郎に、全て食べさせることにした。



●その他

今日は、まだまだ、あった。とても疲れた。


  

  


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悪い予感はよく当たる/破壊(3) [問題行動]

子供達が、毎日、家のモノを壊すことで、

日々の生活も、破壊されてしまうため、

引き出しに鍵をかけてみることになった。





療育で紹介されたこの鍵は、後付けできて、

しかも、鍵がついていることもわからない。


もちろん、本当に大事なものは、

子供たちに絶対わからないところに

厳重に隠してある。


でもそれは、普段、簡単には出せない。


だから、今回、この鍵がうまくいったら、

家中の引き出しや開き戸などに、

少しずつ取り付けていく予定。


そして、U一郎やO次郎に

モノを壊されることを減らし

後片付けの手間を減らそうというのが、

療育の先生の考えだ。


その後、鍵を取り付けて一週間経っても、

鍵をつけた引き出しには、何も起きなかったし

子供たちも、いつも通り、別のモノを壊していた。


引き出しが開かないことに、気が付かなかったのだろう。


鍵を付けた引き出しの中には、

あまり使わない物が入っていたので、

カードキーで解錠することも、しなかった。


けれど、取り付けて、10日くらいに入った頃

それは起きた。


「ァギャァァー、キィィー」

バァンバンッ、ドカッドカッ、ドォッ!


驚いて、夕食の支度も放り出し、

急いで音のする方へ行った。


そこには、顔から耳まで真っ赤になり、

歯をむき出しにして絶叫するU一郎がいた。

開かない引き出しに、怒り狂って


引き出しの下の方を、足で蹴飛ばしながら

指で、引き出しを開けようと、かきむしっていた。


U一郎の指や足の肌は赤くなり、

指の爪は、少し傷ついたように見えた。


「ごめんね、U一郎。」

後ろからそっと抱きしめて、耳にささやいた、

「この引き出し、壊れちゃったの。開かないの」

「今度、修理するから。ね、まってて。」

何度も、何度も、言い聞かせた。


「アァァアーッ!イヤッ、イヤァッ!アギャァー!」

U一郎は、耳が痛くなるほどの大声で叫び

全身をばたつかせながら、床を転げ回った。

そして、ぶつかった壁や家具を、思い切り蹴飛ばした。


こういう時、何か言ったり無理に介入すると、

だいたい、興奮が激しくなってしまう。

そこで、動かせる家具は、部屋からどかして、

U一郎のケガやモノの破壊を、減らす努力だけした。


「やっぱりね、あぁぁ。」


私は、部屋のすみっこで、ため息をつき、

ひざに顔を埋めるように座り込んで、

U一郎が落ち着くのを、じっと待った。


U一郎は、しばらく暴れていたあと、

徐々に落ち着きを取り戻して、叫ぶのをやめると、

花時計の秒針のように、床をクルクル回り出した。


「もうすぐ、ニュートラルに戻るかな」

そう思った時、何かの臭いを感じた。


「ママー、何かこげているんじゃない?」

部屋の反対側に顔だけ出したO次郎は、

好奇心にあふれてワクワクした光る目つきで

うれしそうに、こちらを覗きこんで言った。


跳ね起きて、キッチンに走ると、

お鍋の中の煮物は、すっかり水分がなくなり、

なべ底は、ねっとりと焦げ付いていた。


「あぁ・・。やってしまった。」


泣き出しそうになりながら、

お鍋の中の焦げた食材を、処分した後

お鍋を、いつ、どうやって、きれいにしようかと

もう動かない頭で のろのろ考えていた時、

ふと、横に気配を感じた。


楽しそうな顔のO次郎が、はずんだ声で、

ゴミ袋に入れた焦げた食材を見て言った。

「ねー、それ、今日のご飯なの?どうしたの?」


「あっちにいってなさい!宿題はしたの?!」

思わず大声で叫んでしまった。



    



  




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O次郎の足のこと(9)~小学校入学後の事故 [足のこと]

歩き始めるのが遅かったO次郎だが、

足のことは、就学相談で問題にもならず、

O次郎は、小学校の支援学級に通うことになった。



O次郎の教室は、校舎の1階ではなかった。

また、図書室や体育館、ランチルームなど

学校生活では、ずいぶんと移動が多く、

毎日、どれほど階段を使うのか不安だった。



私が、子供たちを学校までお迎えに行くと、

O次郎は、おでこ、指先やひざなどに、

よく、かすり傷や打撲などを作って戻ってきた。


どうも、何もないところでも、転ぶらしい。

忙しい学校生活に、疲れ始めていたのかもしれない。


学校では、中学年にもなると、

すごい速さの2段とび、3段とびで、

階段を駆け上ったり下りたりする子もいた。


もし、O次郎が、そういう子に少しあたってしまったら、

バランスを崩したまま、大きく転ぶだろう、と思った。


近いうちに、学校での様子を見学に行くべきかも、と

考え始めた頃、学校から連絡があった。


「O次郎君が、階段から落ちて少し打撲したみたいです。」


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息を切らしながら走って、学校までへ迎えに行くと、

泣きじゃくり。耳まで顔が真っ赤になったO次郎がいた。

大きな傷はなく、気分が悪い様子もなかったが、

手足を打撲していたので、一応、病院を受診した。


この頃のO次郎は、まだ、言葉も遅く、


「誰が、何を、どうした。」程度の話も

順を追って、詳しく話すことは難しかった。


そのため、O次郎が勝手に落ちたわけではないが、

転んだ時の詳しい状況などは、よくわからないまま

その件は、終わってしまった。


大きなケガでなかったことに、少し安心したが、

「O次郎の言葉と足の問題は、なんとかしないと。」

と、焦りがつのり、イライラすることが増えた。



さらに、O次郎は、

階段を落ちた時のことが、とても怖かったらしく

その後、階段を見るとすごい速さで逃げ出し、

学校へ行くことも、すごく嫌がった。



こんな状態のO次郎を、

無理やり連れだすのは、良くない、と思い、

一応、担任の先生や病院に相談してみた。


その結果、夏休みまで、あとわずかだったことから、


そのまま学校を休み、夏休みに入ることになった。


電話のそばで、その話を聞いていたO次郎は、

固い顔をして、強く言い切った。

「ママ、ぼく、階段行かないよ。絶対。」



抱き寄せて、頭をなでてやると、

珍しく、メソメソと、しばらく泣いていた。


もっと気をつけてやれば良かったと

私自身の甘さを、深く後悔した。


   

    

   




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子供を施設に入所させることへのためらい [自分のために]

U一郎とO次郎は、障害をもって生まれてきた。

発達はゆっくりで、特徴的な面もいろいろある。


子供たちは、どちらも、

将来、自分で働いたお金だけで生活したり、

福祉に頼らずに生きていける可能性は、低い。


だから、障害者施設やグループホームなどへ

子供たちを入所させることになるかもしれない。


私は、自分の子供たちが何歳になったら、

施設に入所させても良い、と思えるかな。


世間では、高校生や大学生になると、

学生寮に入ったり、下宿したりする子がいる。

それは、前向きで、明るいイメージがある。


    luggage-1081872_640.jpg


でも、同じくらいの年の障害のある子供を

親が、障害児施設へ入所させることには、

私の中では、親を、高齢者施設に入れるイメージに近い。


世の中には、自分の親の介護が、どんなに大変でも

高齢者施設に入れることに、踏み切れない人もいる。

私の気持ちも、それに近いかもしれない。


もし、私の両親や子供たちが、施設に入所した場合、

案外、今まで以上に、楽しく暮らせることもあるとは思う。


もしかすると、施設入所に対する私のイメージは、

古臭い情報に凝り固まった、ただの妄想かもしれない。


けれど、私自身の気持ちとして、

親や子供を、施設への入所させるのは、受け入れがたい。


特に、子供たちの場合、

同年代の他の子供が、世の中に羽ばたき、

あふれる楽しみを味わおうとしている時に、

遠い場所の鍵のついた建物に閉じ込めてしまうことが、

どうしようもなく、カナシク感じられる。


それでも、それを選ぶ日がくるのかな。


そしてその後、時間が経つと、私は、

別に、何事もなかったかのような顔をして、

ゆっくりお茶を飲んで、くつろいだりするのかな。


私は、そんな自分を想像すると、叫び出しそうになる。


そして、そんなことが先に待ち受けているのに

子供たちを、どうにもしてやれない自分が

どうしようもなく無能で、薄情で、愚かに思えて

本当にカナシクて、消えてしまいたくなる。


  

    



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悪い予感はよく当たる/破壊(2) [問題行動]

子供達に、毎日、モノを壊されてしまうため、


平穏な生活のための対策と、療育をかねて、

引き出しに鍵をつけ、2人の行動をみることにした。


子供たちを寝かしつけ、寝息を確認した後、

鍵の説明書を読み、取り付け方法を理解する。







鍵がちゃんと閉まるか、確認したりするうちに、

思ったより時間がかかり、お茶を飲んで一服する。


ふと、子供たちの様子が気になって寝室に行くと、

珍しく、2人とも、ぐっすり寝込んでいる。


なんとか取り付け、カードキーで開閉を試す。

「今は、こんなのがあるんだなー、すごいなー」

と感心しながら、取り付け終了。


見た目にも、鍵がついていることすらわからないし

カードキーでの開閉もスムーズだ、

ちょっとした達成感で、気分が上がる。


わけもなく明るい気分で布団に入ったものの、

少したつと、いくつもの考えが浮かんでは消えた。


「今まで開いた引き出しが開かないと、どう思うかな」

「引き出しが壊れたと思って、あきらめてくれるかな」

「何かでこじ開けようとしたら、どうしよう」

「子供の前では鍵を使えないから、よく考えて計画たてないと」


だんだん目が冴えてきそうなので、

「考えるのをやめて、もう寝よう」と思ったその時、


「きっと、うまくいかない。なんか悪い予感がする」

と、なぜかハッキリ意識した。


「ふぅぅーっ」とため息をつき、布団を深くかぶった。


   

   






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