往生際の悪い母親 [カナシミ]
新美南吉さんの童話「でんでんむしのかなしみ」では
でんでんむしが、自分の背中の殻に
カナシミがいっぱい詰まっていることに気付き
「もう生きてはいけない」とまで嘆く。
けれども、お友達のでんでんむし達も
みんな、同じようにカナシミを抱えているのを知って
嘆くのを止めた、とある。
「すごいね。えらいんだねぇ。」と思う。
本当に。嫌味ではなく。
なぜなら、私は大人なのに、
たぶん、ずっと嘆き続けるだろうから。
このでんでんむしのように、
お友達に会って、嘆いてみたり、
「どうしたらいい?」と尋ねることはないけど。
いつか、私が 嘆かなくなる時が来るとしたら、
それは、きっと
カナシミの原因がなくなる時。
つまり それは、薬か、治療か、他の何かで、
子供たちの障害が、体からなくなった時。
そして、子供たちが、多くの人と同じ程度に
この世で、思う存分、羽ばたける時。
私は、往生際の悪い母親だね。