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O次郎の足のこと(5)~運動会での醜態 [足のこと]

幼稚園に行かせるか否か迷っていた頃

家の近くの幼稚園で開かれる運動会では、

入園前の子供が参加できる徒競走が行われていた。


O次郎とU一郎を連れて行くと

靴の着脱、トイレ、言葉など、あらゆることで、

2人は、他の子供と大きく異なっていた。


私は、瞬きもできなくなり、唇をかみしめた。


緊張しながらも2人を連れて

徒競走の列に並んだものの


本当にゴールまで走りきれるのか、

途中で、寝そべったり騒ぎださないか等

心配がふくらみ、下を向いた。


順庵は、すぐに回ってきて

心の準備をする間もなく

「よーい、ドン!」と声がした。


足を動かすのが遅くて、全く進まないO次郎と

私にぶらさがりつつ、横や後ろへ行こうとするU一郎。


私は、片手ずつ、2人と手をつなぎ

ゴールを目指すが、進むことさえ難しい。


たちまち、私達だけが取り残され、

「頑張れ、頑張れ」と声援がかかる。


U一郎は、奇声をあげつつ、踊り狂って飛び跳ね、

O次郎は、大笑いしながら、つんのめるように歩き、

どうみても明らかに「変」な3人が

皆より、かなり遅れてゴール。


「最後までよく頑張りました」とアナウンスされ

観客席から、たくさんの拍手をもらったが

ショックで泣きそうだった。


「入園なんてできない。」と思った私は、

徒競走の参加賞をもらうことなく、

2人の手をひいて、こっそり帰った。

    
   
     
  


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