SSブログ

障害のある子供の命の値段(2) [放課後等デイサービス]

障害のある子供が、

自宅、学校や施設から、或いは、外出先で

行方不明になってしまうことはある。


障害児の行方不明(見失い)は、

放課後等デイサービスや移動支援に限ったことではない。


日本全国で考えると、

週に2~3人以上は、そういう子供が行方不明になり

警察に通報されているのではないか、という話も聞く。


行方不明の子供を見つけるまでに、長い時間がかかると

最悪の結果を招く可能性も高くなるだろう。


少し前にも、報道された事件がある。



2015年、東京都八王子市にある障害者の福祉施設から

重度の知的障害者の少年(15才)が行方不明になった。


この少年は、その2カ月後、

高尾山麓の沢で、帰らぬ人となって見つかった。


この施設は、少年が行方不明になった責任を認め、

慰謝料として、2200万円を払う姿勢をみせたらしい。


でも、この施設は、

少年が将来働いて得られるはずの収入(=逸失利益、ただし生活費は除かれる)は

なかっただろう、と考えて、

少年の両親に、逸失利益を支払わないつもりだった。


少年の両親は、

「逸失利益がないとするのは、『命の価値がない』とするのと同じだ」

という考えから、

少年の逸失利益を求めて、裁判所に訴えた。


そして、2019年、東京地方裁判所は、

基礎収入額を、「19才までの健常者の平均賃金」として計算し

総額 約5200万円(その内、逸失利益は約2240万円)の支払いを

施設側に命じた。



近年、未成年者のこのような事故において

障害児の逸失利益を認める判決などが出ている。


この判決では、

この少年が就労できる年齢(18才)までに3年しかなかったことや

障害者が、能力を発揮して働ける労働環境が社会に整備されていないこと等が

判断の事情として考慮されたのだろう。


だから、この少年の障害が少し軽くて、もっと年齢が低かったら、

基礎収入額が、「19才までの健常者の平均賃金」ではなく

もう少し高額になった可能性もあるだろう。


では、もしも、この少年に障害がなかった場合、

逸失利益は、いくらになったのだろう。


全年齢平均賃金を基礎収入とし、それ以外の条件を同じと仮定すると、

逸失利益は、約5160万円(総額 約8400万円の支払い)になる。


つまり、この少年は、その障害があったことによって、

逸失利益は、たぶん約2900万円ほど、低くなったのだろう。


けれども、裁判で、逸失利益を決める場合には、

被害者が、たとえ健常者であっても、

その個人の特性や可能性を考慮される。


そう考えると、少なくとも、

「障害者だから、逸失利益はない」と簡単に決めつけるのは、

今後、一般的に許されなくなるかもしれない。



でも、亡くなった少年が、失ってしまったものは、

逸失利益で表された金額のお金ではなくて、

その後、生きて過ごせたはずの人生全部だ。


少年が住んでいた施設は、高い塀に囲まれていて、

部屋や施設の出入口には、監視カメラだけでなく、

鍵も設置されていたと聞く。


この少年は、本当は、どんな人生を送りたかっただろう。



そして、U一頭とO次郎は、どんな人生を歩みたいのだろう。


私の人生は、どうしたらいいのだろう。



      


    









共通テーマ:育児
にほんブログ村 にほんブログ村へ
にほんブログ村

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。